借入金ではない資金調達方法、これだけを聞くだけで、ファクタリングに大いに興味をもつ経営者も少なくないでしょう。
ファクタリングは、新しい社会にマッチする資金調達方法で、融資よりもリスクの少ない資金入手の手段です。
魅力あるファクタリング業者もみられますが、新たに起業した会社であっても、ファクタリングは可能なのでしょうか。
ファクタリングに関する法律
ファクタリングそのものは、12世紀の大航海時代に遡れるほど、古くから存在するビジネスのシステムでした。
日本では手形や小切手が主流で、ファクタリングが一般的でなかった事もあり、ほとんど行われることはありませんでした。
しかし、20世紀に入り、その下地ができた事から、10年ほど前から盛んに行われるようになったのです。
ファクタリングそのものに関する法律はありませんが、これにあたる法律が、民法第555条に明記されている売買契約といったものです。
売買契約は、保有する財産などに対して、金銭などとの交換により、相手方に譲り渡す行為のことを示しています。
つまり、売掛債権を保有する企業との、売買契約であるということになります。ファクタリングの場合、財産にあたるものが、売掛債権というわけです。
その為、仮に買掛債務者が、債務の支払いに応じなかったと仮定しても、売掛債権者が弁済する義務のない債権譲渡が原則となります。
ファクタリング業者は貸し金業 ?
貸し金業にかかわる法律の一つに、民法第587条に明記されている金銭消費貸借契約というものがあります。
金銭消費貸借契約を説明すると、該当者の片方が譲り渡した物と同等の種類や品質、あるいは同じ数で返還する約束を行うことを示しています。
これをファクタリングになぞらえてみると、金銭消費貸借契約といった形態は、売掛債権を担保にして融資を受ける事になるわけです。
実際には、ファクタリングは、売掛債権の譲渡による売却といった形をとっていますので、貸し金業には当たらないという事になります。
逆に言えば、貸金業の免許を所持しないファクタリング業者は、担保を設定して融資を行うことができません。
ファクタリング会社の中には、貸し金業を業務の一環として行っている場合がありますので、仮に担保での融資を持ちかけられた場合、貸し金業の免許を持っているかの確認が必要になります。
基本的にファクタリングは、担保を取ることはないのです。
新規事業者の信憑性
銀行からの融資が叶い、念願の会社を立ち上げたが、追加融資が下りないといったことはよく聞く話です。
これは、設立1年目で決算書が出せないことに起因していいます。
そのほかの融資方法として、日本政策金融公庫や創業資金融資・ベンチャーキャピタルといった利用方法があります。
しかし、審査に時間がかかることも多く、金利が意外と高かったり、仮に融資が下りたとしても2カ月近くかかってしまうこともざらです。
では、ファクタリングを利用することはできるのでしょうか。
答えはイエスで、新設会社であっても、また財務状況がまだ赤字であっても、信用力の高い売掛先の売掛金を持っていれば、迅速な資金調達が可能です。
つまり、ファクタリングは、売掛債権の信憑性を重視していますので、利用者の会社の社歴の浅さは、さほど重要なものではないのです。
新規事業者のメリットは、必要な運転資金が短期的な補てん程度であれば、売上の増加に備えての資金繰りに大きなメリットを及ぼすものです。
まとめ
ファクタリングが、審査が比較的甘いと言われているのは、利用者の会社の状況よりも、売掛先の会社の状況を重視しているためです。
特に、資金繰りが難しいとされる新規事業者の場合、ファクタリングの利用価値は、かなりのメリットを含んでいます。